SaaSのような変化の激しい業界では、常に最新の情報を取得し、適切な指標を理解・分析することが不可欠です。これができるかどうかで、ビジネスの成長と停滞が決まります。
その中でもリードベロシティレート(LVR)は、成長の状況を把握し、全体の目標に沿った次のアクションを計画するために欠かせない指標の一つです。SaaSにおける重要業績評価指標(KPI)であるLVRを詳しく掘り下げ、その意義と活用方法を見ていきましょう。
リードベロシティレート(LVR)とは?
LVR(リード・ベロシティ・レート、リード速度率)は、営業プロセスにおける成長速度と効率性を測定するための指標です。具体的には、前月における適格リードの数の増加率を算出します。この指標を活用することで、営業パイプラインの現状を把握することが可能です。
特にSaaSビジネスにおいて、LVRは非常に重要なKPIです。企業はこの指標を基に、将来の売上予測を立てたり、営業パイプラインを詳細に分析したりします。LVRは、営業活動がどれだけ効率的に成長しているかを示すものであり、適切な戦略を計画するための基盤となります。
LVRの計算方法
単月のLVRは以下の計算式で算出できます。
月間LVR(%) = (今月の適格リード - 先月の適格リード) / 先月の適格リード × 100
もし年間のLVRを計算したい場合は、単純に全月のLVRを計算し、それを12ヶ月で割ってください。
年間LVR(%) = 12ヶ月のLVR合計 / 12
もし年間のLVRを計算したい場合は、単純に全月のLVRを計算し、それを12ヶ月で割ってください。
例をあげて詳しく見てみましょう。
月 | 適格リード数 |
---|---|
2022年12月 | 40 |
2023年1月 | 50 |
2023年2月 | 55 |
2023年3月 | 65 |
2023年4月 | 85 |
2023年5月 | 100 |
2023年6月 | 120 |
2023年7月 | 140 |
2023年8月 | 180 |
2023年9月 | 195 |
2023年10月 | 200 |
2023年11月 | 212 |
2023年12月 | 220 |
2023年1月のLVR =(2023年1月の適格リード - 2022年12月の適格リード / 2022年12月の適格リード)× 100
= (50-40/40) × 100 = 25%
2023年2月のLVR = (55-50/50) x 100 = 10%
残りの期間のリード速度を同様に計算すると、以下の通りです。
月 | LVR(%) |
---|---|
2023年1月 | 25 |
2023年2月 | 10 |
2023年3月 | 18 |
2023年4月 | 31 |
2023年5月 | 18 |
2023年6月 | 20 |
2023年7月 | 17 |
2023年8月 | 29 |
2023年9月 | 8 |
2023年10月 | 3 |
2023年11月 | 6 |
2023年12月 | 4 |
2023年のLVRは、全月のLVRの平均です。つまり、2023年のリード速度は16%(四捨五入)であることがわかります。
リードベロシティレート(LVR)がSaaSにとって重要な理由
SaaSビジネスでは、安定的かつ継続的にリードを獲得することが不可欠であり、これが持続的な成長の鍵を握っています。LVRをトラッキングすることで、リードの成長速度をリアルタイムで把握でき、その後の戦略調整を迅速に行うことが可能になります。
LVRは、SaaSにおける今後の成長の可能性や衰退の兆しを示す指標として活用され、戦略をどのように調整すべきかの指針となります。また、適切なリソースや資金を計画的に配分するためにも不可欠です。
しかし、LVRはあくまでリードの数に関する指標であり、実際にどれだけのリードが有料顧客に転換したのか、または最終的にどれだけの収益を生み出したのかという情報は含まれていません。このため、LVRと他の指標(例えば、転換率や収益など)を組み合わせて分析することで、より詳細なセールスパイプラインの理解が可能になります。
さらに、最新のデータを基に戦略的な意思決定を行うためには、リアルタイムでデータを取得できるCRMやSFAの導入が不可欠です。CRM/SFAを活用することで、LVRの算出に必要な指標を的確に把握し、正しい洞察を得ることができます。